「Gemini Notebookで始めて、Gemで作り直した」── 営業ノウハウの属人化をAIで解消するまで

2026.08.12 | プロンプト工房

「Gemini Notebookで始めて、Gemで作り直した」── 営業ノウハウの属人化をAIで解消するまで

前職の営業組織には、典型的な属人化の問題があった。

「このお客さん、どう提案すればいい?」「こういうケースのトークはどうする?」── 答えを知っているのは、いつも決まった数人だった。その人たちに質問が集まり、本来の仕事が中断される。聞かれた側は答え、聞いた側はメモして、また同じ質問が繰り返される。

知識は組織の中に確かに存在している。でも、引き出し方が属人化していた。

Gemini Notebookで「引き出せる状態」を作る

ナレッジの入れ物として最初に使ったのが、Gemini Notebook(旧NotebookLM)だ。

Google Docsに、営業で使っているノウハウ──提案書のパターン、よくある反論への切り返し方、業種別の訴求ポイント──を集約した。それをGemini Notebookに投入して、「質問すれば答えが返ってくる状態」を作った。

難しいことは何もしない。コードは1行も書いていない。ナレッジをGoogle Docsに整理して、Gemini Notebookに読み込ませるだけだ。

試してみると、「あのトークどうやってたっけ?」という質問に、Gemini Notebookが引き出してくれるようになった。「Gemini Notebookに聞けばいい」という空気が、少しずつ組織に生まれた。

士業向けのクライアント案件でも同じ発想で動かした

この経験をもとに、クライアント(士業)向けの案件でも同様の仕組みを実装した。

書類作成に必要な基礎知識をGemini Notebookにアップロードしておき、クライアント情報を入力すると正確な回答が返る構成だ。依頼が来るたびに基礎から調べ直す手間を省き、「情報を取り出す」作業をAIに任せる。

試作段階では、問題なく動いた。

想定外の壁:書式がコントロールできなかった

ところが、本番運用に近づいたとき、問題が出た。

「出力される書類フォーマットがコントロールできない」という壁にぶつかった。Gemini Notebookは、知識の検索・回答には強い。でも「このフォーマットで出力してほしい」という制御には限界がある。

同じ情報を引き出せても、フォーマットがバラバラでは実務に使えない。

最終的に、実装をGem(Geminiのカスタムアプリ機能)で作り直した。Gemへの移行で、出力形式の制御が効くようになった。「Gemini Notebookで始めて、Gemで作り直す」という転換が、この案件で実際に起きた経緯だ。

「全部を整備しようとしない」という判断軸

この経験でもう一つ学んだことがある。

士業向け案件でナレッジを整備するとき、「依頼として多い内容」を優先して実装した。全ての業務領域を一度にAI化しようとせず、頻度が高くROI(費用対効果)に直結する部分から先に動かした。

「全部揃えてから」を待つと、いつまでも動き出せない。数万ファイルを50個まで絞り込んでPoCを動かした話でも同じ結論に至っている。絞って動かして、広げる。ナレッジ整備も、同じ論理で動く。

AIエージェント導入で最初にぶつかった壁

AIエージェントストラテジスト

AIエージェント導入、最初につまずいたのは「データが多すぎる」だった

プロンプト工房 | 2026.08.06

ツールより先に「何を実現したいか」

GemとGemini Notebookは、どちらが優れているという話ではない。用途が違う。

Gemini Notebookは「ドキュメントに基づいて質問に答える」のが得意だ。社内問い合わせ対応、新人の自走支援──情報の引き出しが目的なら、設定が簡単で導入しやすい。

Gemは「対話の流れと出力の形式を細かく設計する」のが得意だ。特定のフォーマットで出力したい、業務フローに組み込みたい──そういうユースケースに向く。

「どのツールを使うか」より先に「何を実現したいか」が決まっていれば、ツールの選定は後からついてくる。この見極めができることが、AIエージェントストラテジストの仕事だと思っている。

AICXのAIエージェントストラテジスト公式テキスト第3章「AIデータリテラシーとマネジメント」にはナレッジマネジメントの基礎が体系化されており、第5章「人と組織から考えるAI時代の組織設計」には、知識を組織に根づかせるための考え方が載っている。試行錯誤の中でぶつかった判断が、そこに言語化されていた。

「AIエージェント・ストラテジスト」とは?国内初のAI資格が定義する4つの実務スキルを解説

AIエージェントストラテジスト

「AIエージェント・ストラテジスト」とは?国内初のAI資格が定義する4つの実務スキルを解説

プロンプト工房 | 2026.08.02

「資格が後から追いついてくる」── 現場の暗黙知がAIエージェントで最強の武器になる理由

AIエージェントストラテジスト

「資格が後から追いついてくる」── 現場の暗黙知がAIエージェントで最強の武器になる理由

プロンプト工房 | 2026.08.06

よくある質問

Q. 社内のナレッジをAI化するとき、どこから始めればいいですか?

A. 最も頻度が高く、特定の人に質問が集中している業務から始めることをお勧めします。「よく聞かれること」こそ、AI化の効果が最も出やすい領域です。全体を整備しようとするより、1つに絞って動かすことが先決です。

Q. Gemini NotebookとGem(Geminiのカスタムアプリ)は何が違いますか?

A. Gemini Notebookは「ドキュメントに基づいて質問に答える」用途に向いています。Gemは「対話の流れや出力フォーマットを細かく設計できる」用途に向いています。書式の制御が必要な業務はGem、知識の引き出しが目的ならGemini Notebookから始めるのが現実的です。

Q. 社内ナレッジのAI化で、情報漏洩は心配しなくていいですか?

A. Gemini NotebookもGemも、Google WorkspaceのEnterprise契約であれば入力データがAIの学習に使われない設定が可能です。ただし契約内容と設定は必ず確認してください。機密性の高いデータを扱う場合は、法務・情報システム部門との確認を先に済ませることをお勧めします。

「ウチのナレッジをどうAI化すればいいか分からない」

ツール選定から実装・定着まで、現場に即した形でご支援しています。

法人向けご相談はこちら