AIエージェント導入、最初につまずいたのは「データが多すぎる」だった
2026.08.06 | 東健太(プロンプト工房)
結論を先に伝えておくと、AIエージェント導入で最初にぶつかる壁は「データが多すぎて整理できない」という問題です。全社的な完璧なデータ整備を待つ必要はなく、対象範囲を思い切り絞り込めば、非エンジニアでも社内PoCとして動かし始められます。詳細な中身が知りたい方はそのまま続けて読んでみてください。
AIエージェントを業務で使おう。そう決めた瞬間から、次の壁がすぐにやってきた。
AIエージェント導入で最初に途方に暮れた瞬間
対象の業務は決まっていた。使うAIも決まっていた(Gem)。あとは動かすだけ——のはずだった。
(規模感の話をすると、これは全社員200人弱ほどの企業での話だ。大企業のような専任のデータ基盤チームがいるわけではない、いわゆる中堅・中小企業の現場でのエピソードとして読んでほしい。)
問題は、参照させるデータだった。膨大な量があるのは分かっていた。でも実際に中身を見てみると、AIエージェントが読める状態になっているものはほとんどない。ファイル名はバラバラ、フォーマットもバラバラ、更新日すら怪しいものも混じっている。
正直、途方に暮れた。
データ整備を情シスに頼んで、余計に途方に暮れた
「じゃあデータ整備を進めてもらえないか」と、情報システム部に現状をヒアリングしに行った。
返ってきたのは、だいぶ先のスケジュールだった。当然だ。全社的なデータ整備は、片手間でできる話じゃない。優先順位も予算も、こちらの都合だけでは動かせない。
ここで詰む。DX推進の検討が、たぶんここで止まる会社は多いんじゃないかと思う。
業務改善のために、数万ファイルを50個まで絞ってみた
やり方を変えた。全部を整えるのを待つのをやめて、対象を思い切り絞った。
数万ファイルあったデータを、50個くらいまで絞り込んだ。「これだけあれば、この業務では十分に機能する」というラインを見極めて、そこだけをAIエージェントが読める形に整えた。
全体最適を待つのではなく、狭い範囲で先に動かしてみる。社内PoCとして進めることにした。
非エンジニアでも生成AI活用を実装できた理由
エンジニアリソースは、当然なかった。コードを書ける人が都合よく空いているわけがない。
だから自分でデータを整備して、Gemの実装まで持っていった。結果として、それがちゃんと使えるものになった。
これができたのは、「完璧に整えてから動かす」のではなく、「範囲を絞って、AIが読める形に構造化してから動かす」という順番に切り替えたからだと思っている。同じ考え方は、以前作った提案書作成の講座でも使っていた。自社のソリューションメニューをMDファイル化して、AIに読ませる。あれと構造は同じだ。全部を一度にやろうとすると止まる。絞って型にすると、動く。
同じように「絞り込んで、まず動かす」判断が効いた案件を、別の記事にも書いた。「型どおりにいかなかった案件を、あとから5Dモデルで解剖してみた」も、あわせて読んでもらえると、実装の進め方がより具体的にイメージできると思う。
AIエージェントストラテジストの公式テキストと、この経験からわかったこと
AICXの公式テキストにも、データ整備やガバナンスの論点は出てくる。RAGの精度が検索側と生成側どちらに問題があるかを切り分ける、という話も載っている。理屈としては正しい。
でも現場で最初に効くのは、そういう体系的な整理より先に、「全部揃うのを待たない」という判断の方だった。データが多すぎて動けないなら、動く範囲まで絞ればいい。それだけのことに気づくのに、僕は結構な時間を溶かした。
同じところで足踏みしている人がいたら、まず範囲を絞ることから試してみてほしい。
よくある質問
Q. AIエージェント導入で、データ整備は必ず全社的に完璧にしないといけませんか?
A. いいえ。全社的なデータ整備を待つ必要はありません。対象業務で実際に使う範囲まで絞り込み、その部分だけをAIエージェントが読める形に整えれば、社内PoCとして動かし始められます。
Q. データ整備やAIエージェントの実装は、エンジニアがいないとできませんか?
A. できます。範囲を50個程度のファイルまで絞れば、非エンジニアでもGemなどのツールを使って実装まで持っていくことが可能です。重要なのは技術力より、対象を絞り込む判断です。
Q. 情報システム部門の対応が遅い場合、どうすればいいですか?
A. 全社的なデータ整備のスケジュールを待たず、業務改善の対象範囲だけを切り出して小さく始めるのが現実的です。生成AI活用の第一歩は、完璧な環境づくりではなく、動く範囲での実装です。
貴社の業務でも、同じような「データが多すぎて動けない」状況はありませんか?
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