「プロンプトはもう古い」と言われる時代に、なぜ僕はプロンプトの勉強会をしているのか
2026.07.12 | 東健太(プロンプト工房)
結論を先に伝えておくと、「プロンプトはオワコン」は半分正解・半分間違いで、AIが賢くなった今こそ「自分の状況・目的・判断基準をAIに渡す技術」としてのプロンプト設計の重要性は上がっています。のび太くんがドラえもんに道具を出してもらうとき状況と目的をセットで伝えるように、文脈を渡すことがAI活用の本質だからです。詳細な中身が知りたい方はそのまま続けて読んでみてください。
少し前から、こんな声をよく聞くようになった。
「AIが賢くなったんだから、プロンプトにこだわる必要なくない?」
確かにそう感じる気持ちはわかる。ChatGPTでもClaudeでも、ざっくり話しかけるだけでもそれなりの回答が返ってくる。「プロンプトエンジニアリングはオワコン」なんて記事も見かける。
でも、最近の実体験がその認識を覆してくれた。
SNSで話題のプロンプトを試して気づいたこと
XやLinkedInで拡散されていた「画像生成プロンプト」をGeminiとChatGPTの両方で試してみた。
なかなかよくできた。そして気づいたことがある。
出力の差は、AIの差じゃなくてプロンプトの差だった。
GeminiとChatGPTで試したとき、AIごとの癖はあるものの、けっこう似た仕上がりになった。つまり、良いプロンプトさえあれば、どのAIを使っても同等の成果物が出せてしまう。
逆に言えば、プロンプトが雑だと、どれだけ優秀なAIでも「それなり」止まりになる。
AIリテラシーが高い組織でも「うまく使えている感覚がない」は普通にある
転職した会社は、AIツールの導入が当たり前の環境だ。SaaS出身者、Big4コンサル出身者、大手上場企業出身者が並んでいる。みんな優秀で、ふつうにAIを使っている。
そういう場所で、中途入社の方や若手コンサルタント向けに「Claudeの実務での使い方」勉強会を開いた。
正直、「AIリテラシーが高い人ばかりだから、プロンプトの基礎なんて必要ないんじゃないか」と思っていた。
でも違った。
みんな「使っている」けど、うまく使えている感覚がないという状態だった。
- 「なんか回答が一般的すぎる」
- 「自分の仕事に刺さる回答が返ってこない」
- 「毎回プロンプトをゼロから考えてしまう」
「のび太くんになってください」から始めた理由
勉強会の冒頭、僕はこう言った。
「皆さん、今日はのび太くんになってください(笑)」
一瞬、会場に「?」が浮かんだ。
そこでこう続けた。
「のび太くんがドラえもんに道具を出してもらうとき、実はすごく丁寧に状況を説明してるんですよ。『ジャイアンにいじめられて、こんな状況だから〇〇の道具出して』とか、『スネ夫に△△の自慢をされて悔しいから、□□の道具出して』とか。背景と感情と目的をセットで伝えてる。これを伝えないと、ドラえもんは最適な道具を出せないですよね?」
Claudeも同じだ。
どんな状況で、何に困っていて、どうなりたいのか。この文脈を渡してはじめて、AIは「最適な回答」というポケットから道具を出せる。
「なんかAIの回答が一般的すぎる」という悩みのほとんどは、実はここに原因がある。AIが頭が悪いんじゃない。のび太くんができていないだけだ。
勉強会でお伝えしたこと:プロンプトの6つの型と3ステップ
のび太くんの話で文脈が整ったところで、本題に入った。
お伝えしたのは大きく2つ。
プロンプトの6つの型
AIへの指示は「型」として覚えると、毎回ゼロから考えなくてよくなる。業務の種類によって使う型が変わるので、自分の仕事に合った型をまず1〜2個マスターすることから始めるといい。
Claudeへの情報の渡し方・3つのステップ
型を知るだけでは足りない。「何をどの順番で渡すか」がアウトプットの質を決める。ステップを守るだけで、Claudeの回答の密度が変わる。
参加者から「これ、今まで感覚でやってたことが言語化された」という反応があった。使えてはいたけど、なぜうまくいく時とそうでない時があるのかがわかった、という声も。
「プロンプトはオワコン」は半分正解、半分間違い
AIが賢くなったのは本当だ。
でも、賢いAIほど「何を求められているか」の解像度が問われる。
かつてのプロンプトエンジニアリングは「魔法の呪文を探す」ようなイメージだった。特定のキーワードを入れると精度が上がる、みたいな。
今必要なのは、そういう「呪文」じゃない。
「自分の状況・目的・判断基準をAIに渡す技術」としてのプロンプト設計だ。
プロンプトの役割が変わっただけで、重要性は下がっていない。むしろ上がっている。
まとめ
- 話題の画像生成プロンプトを試したら、AIよりプロンプト設計の差が出力を決めると実感した
- AIリテラシーが高い組織でも「うまく使えている感覚がない」悩みは普通にある
- のび太くんが状況・感情・目的をセットで伝えるように、文脈を渡すことがAI活用の本質
- プロンプトの役割は「魔法の呪文」から「自分の文脈を渡す技術」に変わった
一周回って、プロンプトが大事な時代が来ている。
よくある質問
Q. プロンプトエンジニアリングはオワコンですか?
A. オワコンではありません。「特定の呪文を探す技術」としての旧型プロンプトは不要になりましたが、「自分の状況・目的・判断基準をAIに渡す技術」としてのプロンプト設計は、AIが賢くなった今こそ重要性が増しています。そして、プロンプト自体はAIに書かせるので良いですが、それを作成させるための技術こそがプロンプトエンジニアリングになっています。
Q. AIの回答が一般的すぎる場合、どうすればいいですか?
A. 追加の情報を渡してあげてみてください。公開されている情報でもいいですし、自分の頭の中にある情報でもよいです。自分の頭の中にある状況とAIが出してきたもののギャップを明確にしてあげてください。
Q. プロンプトの型はどこから学べますか?
A. まず自分のAI活用の現在地を把握することが先決です。下記の無料診断で「何が足りていて、どこから始めればいいか」が2分で分かります。
プロンプトの「型」を、どう手に入れるか
ここまで読んで、「型」の重要性は伝わったと思う。ただ、型を自分のものにする方法は、状況によって変わる。
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