AIが使えない原因は、プロンプトではなく「何をさせるか」
2026.07.20 | 東健太(プロンプト工房)
結論を先に伝えておくと、AIがうまく使えない理由はツールの選び方ではなく「AIに何をさせるかが決まっていないこと」です。何をさせるかが明確になると、指示の質が変わり、出力が別物になります。詳細な中身が知りたい方はそのまま続けて読んでみてください。
先日、個人事業主・経営者・会社員の方が混在する場で、生成AIの活用をテーマにした有料講座を開催した。
参加者の多くは「AIは触ったことがある」という方たちだった。それでも開口一番、こんな声が出てきた。
「試してみたけど、なんか一般的な回答しか返ってこなくて」
「どのAIを使えばいいか、結局よく分からなくて」
これ、実はAIのせいではない。
AIを試したけどうまくいかなかった——その原因
講座の中でまず最初に聞いたのが、「どのAIがいいですか?」という質問についてだ。
ChatGPTがいいのか、Claudeがいいのか、Geminiがいいのか。この質問、実はあまり重要ではない。
なぜかというと、ツールを選ぶ前にやるべきことがあるからだ。
「AIに何をさせるか」を決めること。
これが決まっていない状態でツールを選んでも、どれを使っても「それなり」の結果にしかならない。逆にここが決まれば、ツールの選び方も自然と見えてくる。
メール返信に使うのか、企画の壁打ちに使うのか、業界リサーチに使うのか。用途によって、向いているツールは変わってくる。「どれが一番いいか」ではなく「これにはどれが向いているか」という問いに変えるだけで、迷いが一気に減る。
指示の質で、出力は別物になる
何をさせるかが決まったとして、次に差が出るのが「指示の質」だ。
たとえば、こんな指示をしたとする。
「ブログの書き方を教えて」
返ってくるのは、教科書的な一般論だ。「まず読者を設定して、構成を考えて……」という、誰でも知っているような内容。
これは、AIが悪いわけではない。情報が少なすぎて、平均的な回答しか出せない状態になっているだけだ。
ここに文脈を加えてみる。
「私は40代の整理収納アドバイザーです。Instagramと連動したブログを始めたくて、整理収納の初心者向けに最初の5記事のテーマを提案してください」
これだけで、出力が別物になる。AIは「誰が・何のために・誰に向けて」という文脈を受け取ることで、初めてあなたの仕事に刺さる回答を出せるようになる。
汎用的な質問には、汎用的な答えしか返ってこない。
自分の業務・立場・目的を渡してはじめて、AIは「使えるもの」を返してくれる。
具体例——「設計書をAIに渡す」という発想
今回の講座では、この「AIに何をさせるか・何を渡すか」の具体例として、講座のスライド制作そのものを見てもらった。
やったことはシンプルだ。
まずClaudeと対話しながら、講座の設計書を作った。「3つの立場の受講者に、最初の一手を持ち帰ってもらう」という目的を伝え、構成を一緒に詰めていった。
その設計書を、4つの異なるAIツールに渡した。
- ChatGPT(Codex)
- Claude(Claude Code)
- Gemini
- NotebookLM
同じ設計書を渡して、それぞれにスライドを作らせた。
結果は、4つとも違うものが出てきた。
どのAIが最も完成度が高かったか、それぞれどんな違いがあったかは、講座のアーカイブで確認できる。参加者にはクイズ形式で体験してもらったので、ここでは答えは出さないでおく。
この「設計書を作ってAIに渡す」という発想は、スライド1枚にとどまらない。業務フロー、マニュアル、提案書——あらゆる「作りたいもの」を設計書として言語化してAIに渡す構造が作れれば、AIは指示通りに動いてくれる。
この発想をさらに組織レベルに拡張したのが、プロンプト工房でやっているAI組織の設計だ。詳しくはこちらの記事で説明している。
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立場によって「最初の一手」は違う
「AIに何をさせるか」が決まっても、何から始めればいいかは立場によって変わる。
講座では、個人事業主・経営者・会社員の3つの立場に分けて、それぞれの「最初の一手」をお伝えした。
同じAIツールを使っていても、個人事業主が最初にやるべきことと、経営者がやるべきこと、会社員がやるべきことは全く違う。ここがズレていると、「使ってみたけど業務に活かせない」という状態が続く。
講座の中では、それぞれの立場に合わせた具体的なアクションをお伝えしたが、この記事では「立場によって最初の一手は違う」という枠組みだけ持ち帰ってほしい。
自分の立場で、まず何をAIにやらせるかを1つ決める。それだけで、AIの使い方は大きく変わる。
特に経営者・管理職の立場でAI導入を進める場合、業務分解からデータ設計、組織への定着まで一気通貫で見通す力が問われる。実際、本業でも「エージェントストラテジスト」という肩書でAIエージェント構築コンサルを推進しているが、求められる力は副業のコンサル現場とまったく同じだ。
まとめ
- AIがうまくいかない理由は、ツールではなく「何をさせるかが決まっていないこと」
- 文脈を渡すだけで、出力は別物になる
- 設計書をAIに渡す構造が作れれば、複数のAIを使い分けながら動かせる
- 立場によって「最初の一手」は違う。自分の立場で1つ決めることが出発点
よくある質問
Q. どのAIツールから始めればいいですか?
A. どれでも構いません。それより先に「何をやらせるか」を1つ決めることが大事です。用途が決まれば、向いているツールは自然と見えてきます。迷っている間は、ChatGPT(無料版)で十分です。
Q. AIに渡す「文脈」とは具体的に何ですか?
A. 自分の立場(職種・状況)、やりたいこと(目的)、相手(誰に向けてか)の3つです。この3つを一言ずつ添えるだけで、出力の質は大きく変わります。
Q. 個人事業主・経営者・会社員で、最初にやることはどう違うのですか?
A. 立場によって「AIに任せるべき業務」と「最初の一手」が全く変わります。詳しくは講座でお答えしています。→ 講座アーカイブはこちら
Q. 設計書をAIに渡すとはどういうことですか?
A. 「何を・どんな構成で・どんなトーンで作るか」を言語化したドキュメントをAIに渡すことで、複数のAIを同じ条件で動かせるようになります。今回の講座では実際にClaudeと対話しながら設計書を作り、4つのAIに渡してスライドを生成するところまでをお見せしました。その具体的なやり取りや結果については、講座アーカイブでご確認いただけます。→ 講座アーカイブはこちら
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